ぷりむろうず第10号     (2002年 3月 1日)





 もうすぐ寒い冬も終わり、春がやってきます。皆さん、いかが過ごしですか?21世
紀となり、なんだかワクワクしていたら暗いニュースが多い今日この頃です。小泉首相
の構造改革も、今後どのような方向でいくのか?医療費自己負担の問題も深刻です。特
定疾患認定も厳しくなり、患者や患者家族だけでなく医療者(例えば主治医)の負担も
大きくなっているようです。記入欄が増えていることが理由ですが、今後社会保障がど
のような形で私たちに提供されるのかとても心配です。

 日本では昨年狂牛病騒ぎ、雪印関連会社の不祥事に大きく揺れていました。世界はア
メリカ同時多発テロ事件後、新政権がアフガニスタンに発足し、現在は国連を始めさま
ざまな国がアフガニスタンへの支援を始めようとしています。21世紀は、新しい時代
の幕開けであったには違いありませんが、20世紀のさまざまな問題を解決しなければ
ならない時だと教えてくれているのかもしれません。。こうした中で私たちは多くの支
援者と理解者を求めながら、歩み続けるほかないようです。ぷりむろうず10号では、
多発性硬化症に関するイベントのお知らせや第5回総会・第6回医療相談会・交流会な
どについて報告します。

 

お知らせ

 MSキャビンがイベント・セミナーを開催しますのでMSキャビンについて簡単に説
明させて頂きます。MSキャビンとは、国際MS支援基金(IMSSF: International 
MS Support Foundation)の日本支部で、MS患者支援活動をおこなっている民
間非営利組織(NPO)です。組織理念としては、多発性硬化症(MS)患者さんの
QOL(生活の質)の向上を促進することを目的としています。(イベントは省略させ
て頂きます。)



お知らせ

 語りの会患者塾が主催となり、「私らしさって何?〜自己決定を支える医療〜」とい
うテーマで、イベント(講演会)を開催します。語りの会患者塾は、今回多発性硬化症
にかかっている方々やその家族を支援して頂くことになりました。また語りの会患者塾
は、市民に医療について考えて頂く機会を設けたいと考えているようです。このイベン
トは全国多発性硬化症、全国多発性硬化症友の会愛知県支部、全国多発性硬化症友の会
関西支部他が協賛致します。そのためイベントをご紹介させて頂きます。このイベント
の目的は、多発性硬化症国際連盟(Multiple Sclerosis International
Federation)、北アメリカグループ代表やアメリカ代表を務めてこられたJim 
Keskeny氏を日本へお招きする計画です。。Keskeny氏には、これまで多発性硬化症
患者国際委員(Persons with MS International Committee)として実践してきたこと
をお話を伺う時間があります。また多発性硬化症(MS)という病気をもつことによっ
て、心にかかえる怒りや悲しみ、喜びなどを語って頂きます。上記の全国MS友の会や
その支部が協賛して、東京・京都・名古屋の3箇所で開催されます。医療講演も同時に
開催し、多発性硬化症をかかえる人たちや家族等の方々と一緒に、私たちの置かれてい
る医療の現状やそれぞれの人の思いを語り合います。MSという病気を持ちながらも自
分らしく生きるとは何かを問いかける場にもしたい、と考えています。

 名古屋開催の折には、なだ いなだ氏「人生とものさし(成長するものさし)の講演
を開催します。なだ いなだ氏は精神病棟を解放し、心の病を持つ方々の社会復帰を進
めてこられました。なだ いなだ氏の構想とこれまでの経験、そして何より思いの中で
生まれた気持ちを語って頂きたい、と思っています。

 また歌を通じて、多くの方々との交流や心のふれ合いをしたいと考えています。語り
の会患者塾のイベントでは、合唱団員を募集しております。この合唱団は、病や障害の
有無に関係なく参加することができます。合唱練習場所と日時を明記しますので、興味
のある方はご参加してみてはいかがでしょうか?

イベントは省略させて頂きます。)





         ありがとう 

       

 2001年3月10日(土)多発性硬化症や疾病等を持つ方への理解を深めるために〜キャ
ンペーン(DE-FU-TAプロジェクト)の実施〜 柳田邦男氏講演 「今を生きる〜病
い、いのち、物語〜」ご参加下さいまして、誠にありがとうございました。皆さんに心
より感謝いたします。写真は親睦会の時のものです。この日愛知県支部会員の方々のご
参加が何よりも嬉しかったです。ありがとうございました。

第5回総会・第6回医療相談会・交流会の報告

2001年6月16日(土)午前10時〜午後12時30分まで、

中京大学名古屋校舎・センタービル(0号館2階ヤマテホールにて第5回総会・第6回
医療相談会・交流会が開催されましたので、以下の通り報告します。

総会の内容につきましては、省略させて頂きます。疑問、質問等は、HP問い合わせへ
お願いします。また医療相談の内容は、医療相談をカセットテープに、参加者の承諾を
得て録音させていただいたものを、テープ起しをして文章化した後、校正したもので
す。



  医療相談会・交流会

 今回の医療相談では、インターフェロンのことを中心に長谷川先生にお聞きしまし
た。



 質問@:インターフェロン1bを継続して使用しています。ステロイドを服用してい
     たため、当初は発熱や頭痛はありませんでした。投与3ヵ月後にステロイド
     投与を止めたら、発熱や頭痛が続き困っています。投与の量を減らすこと 
     や、使用を中止することは考えられますか?

 答え@:感冒様症状については、非ステロイド性抗炎剤の効果が期待できます。これ
     で不十分な場合には、プレドニンの併用も考えられます。インターフェロン
     1bは、800万国際単位を2日に1回使用することで、再発を減らし、再
     発までの期間をのばすことが期待できます。しかし、用量を減らすことで大
     きく効果が減少することはありません。感冒様症状が強い時には減量し、改
     善したら800万国際単位に戻すことも1つの方法かと思います。



 質問A:インターフェロン1bを投与して3〜4ヶ月目です。効き目がなく(実感で
     きず)、疲労感・頭痛・発熱(最近はときどき)があり苦痛です。しかし再
     発は投与後ありません。副作用は軽減できないのでしょうか?

 答えA:感冒様症状による不快感を防ぐには、就寝前に注射することが有効です。こ
     れによって睡眠中に副作用がほとんどおさまるようにコントロールできま 
     す。併用薬として、非ステロイド性抗炎剤が有効です。



 質問B:インターフェロン1bの投与でMSの再発が防げると聞きましたが、投与後
     これまでにないひどい再発を経験しました。このままインターフェロンの投
     与を続けても、このようにひどい再発があったりするのでしょうか?

 答えB:ベタフェロンを使用していても再発する可能性があります。MSはその多く
     が再発と寛解を繰り返す病気です。ベタフェロンには再発回数を減少させる
     効果がありますが、完全になくすことはできません。このケースはたまたま
     ベタフェロンを使っている時期に重なったと考えられます。再発する可能性
     は十分にあることを留意しながら治療に望むことが大切です。ベタフェロン
     には再発までの期間をできるだけ遅くし、再発しても重症度を低くする効果
     があります。したがって長期的展望にたってみると治療効果が期待できま 
     す。なお再発時には基本的にはステロイド・パルス療法を行います。



 質問C:インターフェロン1bの自己注射で、皮膚がはれあがり、投与を中止しまし
     た。効果があり、私の体には合っていると感じました。続けることは、やは
     り難しいでしょうか?

 答えC:教育入院中にドクターや看護婦さんから習った方法で正しく自己注射を行っ
     て下さい。ベタフェロン療法を希望される方には、トレーニングキットが渡
     されますので、このマニュアルにそって自己注射を行って下さい。清潔に行
     うこと。注射部位はローテーションをすることで反応を少なくすることは可
     能です。症状がひどくなる場合は主治医に相談して下さい。



 質問D:主治医からインターフェロン1bを勧められていますが、効能と副作用が心
     配で投与にふみきれません。週に何度、どの程度の量を最大何年間つづける
     のでしょうか?教えて下さい。

 答えD:インターフェロン1bの効能は、MSの再発・進行防止を適応として販売を
     許可された始めての薬剤です。副作用の主なものは感冒様症状です。この薬
     剤によって再発や進行が止まる人もいますが、再発・進行が軽減されながら
     も継続する人もいます。しかし、再発があったからといって、必ずしも治療
     を中断するべきではありません。

     また、効果の発現には1〜2ヶ月を要すると考えられます。インターフェロ
     ン1b(ベタフェロン)800万国際単位を、患者さん自身か家族が1日置
     き(隔日)に皮下注射します。長期的な再発防止には数年間は継続する必要
     があります。

 

 質問E:インターフェロン1aの治験が始まったと聞きました。効能と副作用を教え
     て下さい。

 答えE:効能効果は、歩行可能な再発・寛解型MSで、再発の抑制、身体障害度の進
     行を遅くすることである。副作用のおもなものは、インターフェロン1bと
     同様、感冒様症状である。 

 

 質問F:インターフェロン1bとプレドニンを同時に服用しています。その方が効果
     的なのですか?

 答えF:ステロイド剤はパルス療法以外の服用は効果の証明が乏しく、症状が落ち着
     いておれば、中止できるならした方が良いと思います。ステロイド剤は、長
     く服用している場合は、急に中止すると危険です。

     中止が適当か否か、またその方法については、主治医にご相談下さい。ステ
     ロイド服用中にインターフェロンを開始しても問題はありません。ステロイ
     ドがインターフェロンの効果を無くすことは報告されていません。

 

 質問G:インターフェロン1bは注射なので、とても抵抗があります。注射でない方
     法で投与することは将来的にあり得ますか?

 答えG:現段階は、インターフェロン製剤は全て注射剤で提供されています。しか 
     し、将来的には、注射剤も投与方法の工夫が検討されると思います。

       *感冒とは、熱が高くなり、だるさ・頭痛や食欲不振をもたらすことを
       いう。     

        

 木の模様を描いた布に、参加者がおのおのメッセージを書いた。こうした作業も思い
出深いものになった。当日は、32名が参加して下さった。

 また、愛知県支部の新しい顧問医師として長谷川医師から春日井市民病院 神経内科
部長の平山幹夫先生を紹介していただいた。知人が、MSになったきっかけもあり、こ
うして多発性硬化症に罹っている皆さんやご家族をみなさんのためにお手伝いしたいと
思いました。微力ながら、お手伝いさせて頂きたい、と思います、とご挨拶があった。
MSになるということ、それを受け止めていくこと、そんな心の部分も分かってくださ
るような・・・そんな温かい言葉に聞こえ、力強く感じた。長谷川先生にも継続的に支
援して下さるように、改めてお願いしました。



編集後記 

 新しい役員体制で、愛知県支部は運営していくことになりました。三和には、相談役
として支部の運営管理と電話受付をお願いしました。坂野は、引き続き電子メールでの
受付と郵便物の事務管理(愛知県支部、各支部ニュースレター等)します。また三和と
ともに各支部との円滑な交流をはかるための努力をしていきます。神野は、事務局の主
な業務を相談役・支部長と相談しながら責任をもって遂行します。また神野の事務局運
営である電話受付と事務作業を田中と服部が手伝います。また幹事には、支部運営や事
務のお手伝いをお願いしました。新体制で、ますます愛知県支部がよりよく生まれ変わ
るよう努力していきたい、と思っております。どうぞ応援して下さい。私事で大変申し
訳ないのですが、昨年の3月からアメリカで留学しております。アメリカ同時多発テロ
の時は、ニューヨークにおりました。今こうして振り返ってみても、未曾有の出来事で
した。私はこの出来事の直後から、被害者の人に話を聞いてきました。今こうして皆さ
んにこうした話を改めて書くことに、ためらいを感じます。もう世の中の人の記憶が薄
らいでいく様子が、ニューヨークにいても感じるからです。被害者の人たちは、このこ
とを忘れることができません。悲惨な出来事の記憶と心の喪失感に彼らは苦しんでいま
す。私はその思いを聞きながら、何だか何かを作りなおしているような、何かをやり直
しているような感じがしています。語ることの大切さは十分感じていた私が、耳を傾け
て話を聞くことの大切さを再確認できたような気がしました。皆さんの心の声をこれか
らも聞かせて下さい。  

                          (文責 坂野尚美)






       
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